歩く

2022.10.8(土)飯能まちなか散策ツアー(後半)

後半のスタートは蔵のお隣にある「旧・飯能織物協同組合事務所」です。飯能市の発展を支えてきた絹織物産業の歴史を後世に伝える歴史・文化遺産として大変貴重な建物です。現在はNPO法人埼玉ハンノウ大学が事務局として運用されています。太い窓枠に上げ下げ窓の一見洋風な建築ですが、屋根のシャチホコが独特な雰囲気を生み出しています。

 

飯能大島紬!その起源と沿革が記されていました。高麗郡に亡命した若光王以下1799名が養蚕・製糸・絹織物の技術を伝え、飯能では江戸後期から明治期にかけて縄市によりまちが発展、絹織物産業により財力を蓄えました。

こちらの部屋は飯能のまちなかを囲む4つの神社が交わる位置にあるため、パワースポットと言われているそうです。こちらで商談をすれば、商売繁盛間違いなし!

次代につなげたい 〜あなたが選ぶ〜  飯能まちなかの風景・歴史文化を紡ぐ建物「写真パネル展」

開催中です。こちらの織協でリアル投票ができるのは10/21(金)(月曜休み)までですので、ぜひこの機会に織協の建物に足をお運びください。

10/5(水)には飯能まちなか・歴史的建造物を活用した景観まちづくり シンポジウムがこちらを会場として行われ、ライブ配信されました。浅野さんもこちらで登壇されています。前半報告会、後半パネルディスカッションという構成です。大変聞き応えのある内容になっており、こちらを視聴した後に路地ツアーに参加すると、飯能の課題がより浮き彫りになって見えてきます。youtubeでアーカイブ配信されていますのでご覧ください。

 

一行は北裏通りへ進みます。双木家は郵便局長を代々継いできた旧家で、西側の庭園部分に木造二階建て洋館の郵便庁舎があったそうです。庭木と建物のバランスが良く、角の桜が咲くと道行く人に安らぎを与えます。

 

大野家は元は反物問屋で、関西方面など遠方からの上客の宿泊場所として奥蔵を解体して増築されました。桟瓦葺き寄棟造りの町家、近代和風建築。外壁の杉下見板張りが保たれていて、京風の趣があります。

近江商人の初代が味噌醤油屋を開いた後、酒屋として商売を続けていいたが平成に廃業。その後、初代の曾孫当たる娘さんが鍛鉄(ロートアイアン)の展示販売店として、古民家をそのまま引き継いで使っているお店が「江州屋」です。今日は店主の加成庶子さんがいらっしゃったので、しばし談笑させていただきました。お店の中にはインテリアや生活雑貨が並んでいます。木と鉄が調和していて、とてもおしゃれな雰囲気があります。

ゴールの店蔵絹甚に到着しました。江戸時代から商いを営んでいた篠原甚三、長三親子によって建てられ、平成19年に飯能市の文化財に指定された建物です。一旦は人手に渡りましたが、篠原家の子孫が買い戻し、最終的に飯能市に寄贈となり、保存につながった奇跡的な建物です。大きな改修の後もなく、状態も良好です。こちらで絹織物や太物(絹や麻の織物)の小売をしながら、周辺の関連業者向けに生糸・繭・蚕種などの売り買いが行われていました。歴史的・文化的にも価値の高い建造物で、これからもみんなで守っていかなくてはならない町のシンボルです。

 

最後は二階の座敷で皆さんから今回のツアーの感想などをいただきました。今回は92歳の方にもご参加いただきましたが、大変お元気で、ご健脚をお持ちでした。「今日は大変良いものを見せていただきました。飯能に50年以上住んでいましたが、見たことのない、知らないことばかりでした。冥土の土産になりました」というお言葉が今回のツアーを物語っていたかと思います。貴重な建物の中に入れたり、住んでいる方と直接話して触れ合ったり、飯能名物を食べたり…いろいろ角度から魅力を堪能できたのではないかと思います。ご参加いただいた皆様、協力していただいた皆様、本当にありがとうございました。

(了)