歩く

2023年10月28日(土)飯能まちなか散策ツアー(後半)

味噌漬けまんじゅうを食べ終わったところで、蔵のなかを案内していただきました。この蔵はコミュニティ&コワーキングスペースを軸に、「自分らしいハンノウ暮らし」を応援する活動をおこなっているBeleaf+さんが改修し、管理されています。ギャラリーとして、ピアノ演奏会の場として、またある時は会議の場やイベントスペースとして、用途に合わせていろいろ表情を変えてながら利活用されています。

ハンノウ大学学長の小野まりさんに2階も案内していただきました。西川材をふんだんに使用して改修されており、明るく開放感のある空間になっていて驚きです。

つづいて織協事務所2Fも見せていただくことになりました。

たたみ100畳分くらいの広々としたスペース。ここで反物の検査や総会などが行われていました。こちらもいろいろ活用できそうな空間ですが、改修には莫大な費用がかかります。「時代につなげたい飯能の建物 第1位」の建物ですが、一時の解体の危機は去ったものの、その保存の道のりは決して易しいものではありません。

郵便局長を代々受け継いできた双木家の邸。西側の庭園部分にかつて洋館の郵便庁舎がありました。春先には角の桜が花を咲かせ、道行く人々に安らぎを与えてくれます。

2階の破風には懸魚が取り付けられています。懸魚とは棟木や桁の木口を隠す装飾で、火災を嫌って水に関係の深い魚という言葉が用いられていますが、決して魚の形をしているわけではありません。

「師岡家住宅」もともとは材木商のお店で、店の出入り口がL字型に設けられています。道側と材木置き場両方が見通せる材木店特有な造りとなっています。

なんとこちらも中を見せていただけることになりました。実はこの建物は、三島由紀夫「美しい星」小説の冒頭に出てくる邸のモデルとなった場所なのです(!!)

ようやくゴールの「店蔵絹甚」にたどりつきました。通りに面した方から店蔵⇒主屋⇒中庭⇒土蔵と連なり、南北の奥行きが長い典型的な町家造りです。こちらも中に入らせていただきました。

出入口土間と見世座敷との境を仕切る揚戸。現在のシャッターの役割をしています。

2階に上がらせていただき、重厚感のある黒漆喰の扉の中に入ります。

窓から「うだつ」について説明してただきました。自家と隣家との間の屋根を少し持ち上げた部分を「うだつ」と言い、防火の役割と装飾の意味合いをもち、財力の表れとみなされるようになりました。「金銭に恵まれない」「生活がよくならない」「出世しない」ことを「うだつが上がらない」と言いますが、「立派なうだつを上げることができない」という意味からきているのですね。納得です。

なんと最後の最後の大サービス!!屋根裏にまで上がらせていただきました。一見トラス構造に見えますが、構造力学的には正式なトラス構造ではなく、これを造った大工が当時日本各地に導入されはじめていた洋式トラスに倣って造ったものだそうです。

本当に今日はたくさんのことを勉強させていただきました。散策ツアーはこちらで解散となりました。

いや~お腹が空きました。ここからはお楽しみ(?)筆者の孤独のグルメ編となります。

ガレット工房「時」。もともとは質屋の蔵だったそうですが、路地に面した板塀なども古いまま大事に残されており、どこか懐かしい風情を味わうことができるお店です。

蔵を店舗に改装されていて鋳鉄のアイロンや柱時計に薪ストーブなどのアンティークの小物もセンスが良く雰囲気がとても良く、大変落ち着きます。

おお、これがガレットですか!そば粉でつくられた生地なんですね。今回はパルミジャーノ(1,500円)を注文しました。生地で卵をきれいな三角状に包んで、その上にベーコンが乗り、パルミジャーノがかかっています。何しろこのタイプのガレットは初体験なので恐る恐る食べましたが、生地がもちもちしていて、そばの風味に卵の甘さとチーズの酸味が加わりとっても美味しかったです♪

今日はよく歩き、よく学び、ついでによく食べました(笑)

これぞ三位一体、大満足のツアーとなりました。参加された皆さま、大変お疲れさまでした♪

(了)